成年後見制度とは何か。

成年後見制度とは、民法典に記載のある我が国の法制度の一つであり、成年後見人を保護するものとして知られています。では、成年後見人とは何を指すのでしょうか。これを知るためには、まず日本の民法の考え方を理解する必要があります。民法によれば、売買契約や賃貸借契約の締結など、何らかの法的効果を生み出す法律行為をするためには、行為能力を有している必要があります。行為能力とは、単独で有効な法律行為を行うことができる地位のことを指します。

一般の成人であれば、行為能力は有していると考えられています。もっとも、人は人生の中で、行為能力が不十分である場合があります。たとえば、未成年だけでは物件の賃貸借契約や、金銭消費貸借を有効に締結できないであろうということは容易に理解できるものだと思います。彼ら未成年が行った法律行為を、常に有効としてしまえば、それは彼らの財産を危険にさらすことにもなりかねません。そこで、法はこうした行為能力が不十分な者を、制限行為能力者としてカテゴリー付けし、より手厚い保護を与えることとしました。それが、制限行為能力者制度です。中でも、成年でありながら、事理弁識能力が不十分な者を保護する制度を、成年後見制度と呼んでいます。成年後見制度の特徴は、成年であって事理弁識能力の不十分な者を被後見人とし、被後見人の行った法律行為を管理する者として後見人を置くことにあります。

たとえば、被後見人が後見人に黙って不動産の売買契約書にサインをしてしまった場合でも、後見人は被後見人の法律行為を取り消すことが可能となります。これは、一見すると被後見人の財産を処分する自由が、後見人によって簡単に制限されてしまう制度のように見えますが、こうすることで被後見人の財産を守っていく制度なのです。では、後見人がいかにして決められるかというと、法律によって定まる法定後見人と、自らが指定して決まる任意後見人の2つがあります。最近注目されているのは、後者の任意後見人です。例えば、自分が未だ元気な時に親しい親族らと相談を行い、自分が寝たきりになった暁には誰々を後見人としようと取り決めを行います。この場合、後見人となる予定の者に対して、寝たきりになった場合の財産の管理などを指示できるため、有用な制度として用いられるわけです。このように、成年後見制度は成年被後見人の財産を保護するとともに、自分が事理弁識能力を欠いた場合に備えて、綿密な人生設計を考えることを可能にする点で優れた制度と言えます。

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